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第1部 一章 【財前姉妹】その2 第二話 新入部員たち

Penulis: 彼方
last update Terakhir Diperbarui: 2025-03-13 10:00:00

15.

第二話 新入部員たち

 月日は流れてカオリたちは3年生になった。受験生になってはさすがに今まで通りに遊ぶことは難しい。

 1人だけ1年生だったアンナだけはまだ2年生なので余裕があったが他の4人は全員3年生だ。必然的に集まりは悪くなった。

「いいよ、私1人でも麻雀部続けるもん!」とアンナは言うがスグルとアンナの2人きりの部室はもはやただスグルの部屋に女子高生が1人上がり込んでいるだけであり、ユウは気になって受験勉強どころではなかった。

 しかし、ある日その状況に変化が起きた。なんとアンナが後輩を連れてきたのだ。しかも2人も。

「その子達は?」

「テーブルゲーム研究部の新1年生。私が籍は置いてるけどほとんどテーブルゲーム研究部にいないのはどうしてなのかこの子達に問い詰められて、別の場所で麻雀の研究してるって言ったら興味があるって言ってついてきちゃった。別にいいよね?」

「いいも何も好都合じゃないか。これでまた4人麻雀が出来るようになるな」

「だってさ。良かったね2人とも」

「ありがとうございます」

 2人はそう言うとあらためて自己紹介をした。

「私は中條八千代です。ヤチヨって呼んでください。趣味はチェスとオセロです。テーブルゲーム研究部ではみんな将棋ばかりしてて実質将棋部になっていたので麻雀の方が楽しそうだと思ってついてきました」

「私は三尾谷寛子です。私も将棋より麻雀に興味があってついてきました。ヒロコって呼んでくださいね♪」

 斯くして麻雀部は顧問のスグルを合わせて8人。2卓分の人数になった。

◆◇◆◇

 一方、ミサトはカオリに手を焼いていた。

 2人は3年生になっても同じクラスだった。3年生のクラスは1階なのでベランダは無いが庭があった。庭には小さな花壇と畑があり。その奥に小川が流れていた。遠くには山も見える。

(いい眺めだなあ)と窓際の席になったカオリは外を見る。

「川…。川かあ…… 山もあって…。いい風も吹いてる。麻雀したいなあ」

 そう呟きながら気付けば消しゴムを握っていた。消しゴムを握っては右回転切りでパシン!  パシン!

「カオリ!  なに消しゴムツモ切りしてんの」

「いやあ、だって、山も川も風もあって、麻雀を連想しない方が無理じゃない?」

「山も川も前からあったし風も今日だけ珍しく吹いてるわけじゃないでしょ。落ち着いて、あれはいつもの見慣れた大自然よ」

「でも、山、川ときたら……」

「もう病気ね。これじゃダメだから今日は麻雀部に行くことにしようか?  カオリの学力があれば1日くらい勉強しなくても大丈夫だものね」

 麻雀部の部員達は全員それなりに成績が良かった。

 全員基本的に大学進学を目指していたがそれは目的を持っているわけではなく、一応行ってみようというだけでありモチベーションは皆無だった。

 それよりも麻雀がしたい。

 麻雀に全てを捧げる人生にしてしまいたい。

 本心では皆がそう思っていたが、安全策としてとりあえず大学だけは出ておこうという、せっかく成績はいいのだから。というそれだけだった。

 そんなカオリたちに麻雀断ちなど不可能であり。発作的に消しゴムをツモ切りし。山を見ては牌山を連想し川を見ては捨て牌(河)を連想し風を感じては風牌に思いを馳せる。この時点で財前香織はもはや骨の髄まで染まり切った麻雀打ちになってしまっていたのである。

 ミサトは麻雀部のグループトークにひとこと書き込む。

「もうカオリが限界なので私達は麻雀部に今日は顔出します。せっかくだから来れる人は集まってね」

 こうして、1か月半ぶりに3年生達が麻雀部に集まった。

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